地中熱利用の説明パンフレットはこちら。
・安定した地中温度を取り込む
パッシブソーラーといえば第一に太陽熱が頭に浮かびますが、もう一つ太陽熱と同じぐらい大事な役目を果たすのが実は地中熱なのです。
地表の温度は四季の変化に連動して夏熱く、冬は冷たくなります。しかし段々深くなると地表の影響が少なくなり、5メートルほどの
深さになると1年中ほぼ一定で、その温度はその場所の年平均気温と同じになります。実はむしろ夏冬逆転して1,2度冬のほうが暖かい
ぐらいです。
ちなみに最近の東京の年平均気温はおよそ16.5度です。この温度は夏にはとてもに涼しいですし、冬もちょっとだけ補助すれば
すぐに適温まで上げる事が出来る温度です。この温度を反映しているのが、井戸水の温度ですが都会ではそれを実感する機会も少なく
なりましたね。
地中熱利用というのは、この地中5メートルの安定した温度を住宅の室内に取り込もうという事です。
・シンプルな仕掛け
それにはどうすれば良いかというと、地表を断熱材で覆って地表の温度変化の影響を受けないようにすればよいわけです。
実際の建物では「1階の床下以外」はしっかり断熱するだけです。そうすればその建物の下の地面は外気の影響を受けなくなり、
だんだんに地中5メートルの温度に近づいてくるのです。その温度を断熱していない1階床から取り込みます。
こうして、わずかに補助すれば快適に過ごせる室温を、何も熱源を使うことなく実現できます。
・循環システム
SURではより効率良く地熱を利用するために、最近の設計例では簡単な空気の循環システムを設置しており、すでに何軒もの実例が
ありますが、うまく機能しています。完全に室内化した1階の床下空間の空気を、ダクトで建物全体に行き渡らせるシステムで、
市販の塩ビダクトと換気扇を組み合わせたごくシンプルかつローコストなシステムです。
夏は床下の涼しい空気を吸い上げて2階の天井から吹き出します。冬は逆に高い位置に溜まった暖気を吸い込んで床下に戻します。
敷地条件などにより程度の違いはありますが、まちがいなく一定の効果があるようです。
ただし、この地中熱利用は一つ欠点があります。地面が一定の温度に達するまでにかなりの時間がかかる事です。
建物の下の地面が安定した温度になるまでに1年以上必要です。建物の断熱性能は非常に高いので、暖冷房すれば問題はないですが、
SURでは、いつもクライアントに、「一年目の冬は少し寒いので我慢して下さい」「寒ければ一年目だけはエアコンを強めに運転
して下さい」とあらかじめ話しています。もっとも私たちの事務所が目ざすのは「冬寒くなく、夏暑くない」住宅です。
「冬暖かく、夏涼しい」住宅より、その方がエコだと思いませんか。
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