旧神奈川県立近代美術館:坂倉準三
リニューアルオープン!
坂倉準三設計の旧神奈川県立近代美術館が「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」として6月8日からリニューアルオープンされます。それに先だって5月6日まで公開されているので見にいってきました。
鎌倉駅前の鳥居をくぐって小町通りを行くと原宿並みの大混雑、歩くのも大変です。この調子だと建物も混んでいるかもと覚悟して向かいました。
1951年竣工の名建築
この建築はコルビユジエの弟子であり日本の近代建築の基礎を作った一人、坂倉準三の代表作で「日本の近代建築20選」にも選ばれています。近代建築の原則に忠実に従いながらも日本的にアレンジされた名建築です。
鶴岡八幡宮の境内にあり、本来の入口は側面の道から入ります。わずかに斜めに配置された正面全景が見えます。エントランスの大階段の真ん中にH形鋼の柱が立ち、側面に赤い色彩が施されているのが目に付きます。現在の玄関は反対側です。
結構カラフル
改修前はオリジナルの色ではなくなっていたようですが、今回の改修で設計者の意図した鮮やかなアクセントカラーが蘇りました。赤、緑、黄色、水色、黒、近代建築でお馴染みの色があちこちにちりばめられています。
建物の見学者は意外に少なく、ゆったりとこの空間を堪能することが出来ました。
軒天に映る水面のゆらめき、枯山水のような中庭
リニューアルで軒天井もきれいになったので、この有名な水面の反映もとてもきれいです。
ドアにも本来の青色
そしてもう一つの特徴がこの中庭です。
床のペーブがオリジナルに近いデザインに戻されました。バリアフリーの観点から玉石敷きが玉石の洗い出しに替わりましたが、斜めに敷かれた敷石のパターンは本来の形状です。
大谷石とガラスブロックのコントラストが美しい。
こんな色づかいはいかにも近代建築。
日本的な空間
典型的な近代建築のインターナショナルスタイルをふまえながらも、桂離宮などに通じる日本的な感性が自然ににじみ出ているような建築、軽やかでみずみずしく、とても美しい空間です。
建築展は5月6日までで、可能ならその期間だと建築そのものについてのいろいろな展示が見られますが、その後も6月8日からミュージアムとしてオープンになるので是非一度見学されることをお勧めします。