エコハウス:災害に強い設備・災害時の設備対応

東日本大震災以来、数回の大きな地震、激しい台風、あるいは火山の噴火まで様々な自然災害が続いています。住宅ではどのような対策があるのでしょうか。今回は設備だけに絞って、災害に強い設備とはどのようなものか考えてみます。

災害時、エネルギー源は複数あった方が良いか

結論はオール電化で問題は無い、あるいはオール電化が一番良いと言えます。
1.各種エネルギー源の中で電気が災害時一番復旧が早い。
このところの台風では大規模停電があり心配に思われる方も多いと思いますが、それでも一週間程度で復旧しています。実際過去の大災害時でも下表のように電気の復旧がガスより圧倒的に早いことが分かります。ただし台風時はガスの被害は少ないですから電気の方が不利です。

2.電気は何にでも使える万能エネルギー。
たとえばガスは調理、給湯、暖房には使えますが、家電品を動かせるわけではないですし、特別な器具がなければ照明にもなりません。灯油もほぼ同じです。しかし電気さえあればあらゆる事が可能で、電気は万能のエネルギーです。

3.非常時用にはカセットコンロが一番有効。
しかし大きな災害時には電気といえども一週間以上停電することもあり得ますから、その程度の期間の停電は想定しておく必要があります。その対策としてはカセットコンロ(多めのボンベも)を用意するのが簡単で現実的です。

4.電気はいろいろな方法で手に入る。
夜間の照明や、スマホ、ラジオなどの電源にはどうしても電気が欲しいわけですが、その程度でしたらいくつか方法があります。ひとつは車のバッテリーです。シガーソケットが電源になりますし、ガソリンが入っていればバッテリーに充電も出来ますから、一週間程度なら何とかなります。車の電源で動く器機類もいろいろありますから必要そうな物を用意しておくと良いです。最低限スマホの充電ケーブルは必須です。ラジオやテレビなら車載のものを見たり聞いたり出来ます。素朴な方法としては乾電池を多めに用意しておけば照明はもちろんスマホ充電アダプターもあります。もちろん太陽光発電があれば昼間はかなり電気が使えますし、更に蓄電池があれば完璧です。また、ガソリンやカセットコンロ用のガスボンベで動く家庭用の発電機も小さなものなら意外に安価です。

非常時の調理はカセットコンロ

調理にはカセットコンロが1台あればほぼ困らないと思います。ボンベを数本用意しておけば一週間程度なら大丈夫です。
七輪や薪を燃やすのは特別な設備がない限り室内では無理なので一般的とは言えません。オール電化なら電気さえあればIHコンロは使えます。ただし電気は食うので小さな蓄電池などでは無理です。

停電・トイレも電気がないと流せない?

災害時良く話題になるのはトイレの問題です。最近のトイレは通常は電気がないと流せないものも多いのでそのままでは停電で使えなくなってしまいます。しかしほとんどの機種は停電対応の機能が付いており、停電時でも手動で流せるようになっていますから、マニュアルを良く読んで確認しておきましょう。また断水している場合でもバケツに水をくんで直接便器に流せば流れて行きます。水の使用量は通常の使用時とあまり変わりません。なお昔からあるタンク式でレバーで流すタイプは停電時でも同じに流せます。ただし激しい地震などで排水管がダメになって詰まっている場合はどうしようもありません。

災害時の水の確保は?エコキュート+雨水タンクが最強

次に水の確保です。ペットボトルの水をある程度備蓄しておくのも良いですが、給湯器がエコキュート(エコキュート以外の給湯器でも貯湯タンクのあるタイプなら同じ)ならいつも300〜400Lの飲用可能な綺麗な水が確保されているので大変心強いです。エコキュートは夜間沸かしたお湯が早朝にはタンクいっぱいに満たされていて、使って行くとその分タンク内の水が減って行くと思いがちですが、実は使う時下から水が入って沸いたお湯を押し上げて行くので、使うほど水の割合は多くなりますが常にタンクいっぱいに満たされています。エコキュートも停電すればリモコンが働かず使えなくなってしまいますが、タンクに直接取り付けられているコックを捻ると中の水が使えます。これもマニュアルで確認して非常時に慌てないように準備しましょう。しかし上に書いたトイレを流す場合などは綺麗な水の必要は無いので、できれば200L程度の雨水タンクがあれば30回程度は流せますから、とても有用です。この程度の大きさのタンクは屋根の広さにもよりますが大体一回雨が降ればいっぱいになりますから、使い切っても雨さえ降ればOKです。価格も安いもので十分で3万円前後ですから設置場所さえあれば是非準備しておきたいものです。風呂の水も浴槽に普通に入れて150L程度ですから、すぐに抜かないで置いておくと非常用には役立ちます。

太陽光発電があるなら

太陽光発電をのせている住宅なら、太陽が出ていれば発電しますからとても強力です。しかしこれも停電すると通常の形では使用出来ません。その場合、スイッチを停電時モードに切り替えて停電時用のコンセントを使います。このあたりもあらかじめしっかりマニュアルで確認して下さい。また、蓄電池がない限り日が照っている時しか発電しませんから、できれば蓄電池が欲しいですが、一般に売り出されている家庭用の蓄電池はほとんど100万円以上ですから非常時用の投資としては簡単には手が出せません。非常時用と考えるのならもっと小さな蓄電池でよいと思います。アウトドア用ものは一般的な家庭用の1/10程度の容量しかありませんがその分価格も10万円以下ですから可能ならあると良いですね。その程度でも長い時間でなければかなりの家電品が動かせますし、少なくともラジオやテレビをつけて明るい夜を過ごすことは可能です。たくさん電気を使うものは太陽の出ている昼間に動かせばよいわけです。なお、この蓄電池は通常のコンセントから充電します。太陽光発電が無くても常にコンセントから充電しておけば非常時の数日なら便利に使えそうです。

自家発電機

自家発電機があればもちろん便利です。20万円程度の物なら相当の家電品が動かせるので、余裕があれば欲しい所です。燃料はガソリンが主流ですがプロパンボンベを使うものもあります。今プロパンガスを使っている家庭ならこれも検討して良いです。ただしガソリンはちゃんとしたタンクで保管しておかないと危険です。

災害時対応設備のまとめ

災害時を考慮した設備のお勧めの形は「エコキュート」で水を確保、非常時用に「カセットコンロ」と「雨水タンク」は比較的安価に用意出来るので是非用意したい。「車の電源」は有用なのでスマホ等の「充電ケーブル」は必須。太陽光発電は非常時用だけでなく初期投資は10年で回収出来るので投資可能なら是非つけたい。蓄電池や自家発電機はあると便利なので、小さくてあまり負担にならない金額のものを可能なら1台用意。という事だと思います。いずれにしても非常時対応の操作方法をあらかじめ確認しておきましょう。また、カセットボンベや乾電池はある程度備蓄しておきましょう。なおオール電化でなくても給湯を「エコキュート」とする事は問題なく出来ますし、ランニングコストもガスの1/2になるのでお勧めです。

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