雑司が谷ZEH5・ゼロエネハウスの光熱費

今、省エネ(CO2削減)のために国の政策として2030年には住宅をZEH化するとしています。しかしZEHって何?、ゼロ・エネルギー・ハウスと言うけど本当に光熱費がかからないの?と疑問をお持ちの方も多いと思います。そこで自邸:雑司が谷ZEHを材料にご説明します。

「パッシブデザイン+太陽光発電」がZEHです

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、その家で「創り出すエネルギー>使うエネルギー」の住宅です。基本はパッシブデザインの省エネ住宅ですが、いくら省エネといってもエネルギーは使うわけですから、ZEHには必ずエネルギーを作り出す装置が必要になります。それは一般的には太陽光発電です。つまり「ZEH=パッシブデザイン+太陽光発電」ということになります。

住宅のエネルギー使用は減らしたい、でも快適にしたい

今、世界中でCO2を減らす努力をしています。日本も産業部門では着実に減少していますが、住宅のCO2排出量はここ20年でかなり増えています。便利で快適な生活を望めば自然の成り行きですが、生活の質を落とすことなく省エネにすることは大きな課題です。

ZEHは使うエネルギーが少なく環境への影響が少ない、つまりエコハウスということです。地球環境に良くて、なおかつ快適な生活が維持されるなら、ZEHの意味は十分にあります。しかも初期投資分が低ランニングコストでペイするのなら良いことずくめです。

ZEHは快適です

省エネというと暑さ寒さをガマンするイメージがあるかもしれませんが、建物の断熱気密性能の高いZEHはそんなことはありません。年間通じて建物内のすべての部屋が快適な温度に保たれます。

上の写真は雑司が谷ZEHの冬のある日の実測データですが、左端は暖房機の入っている床下、右端の外部を除くと、1階から3階まで建物内の場所による温度差は2度以内です。1日の温度変化もきわめて少なく3度程度しか上下しません。また、床、壁、天井各部の温度がほぼ同じで足元が寒いという事もなく、そのような温熱環境では、結構低めの温度設定(19度前後)でも不快ではありません。

そして単に快適と言うだけではなく、完全な温度バリアフリーで、交通事故死の5倍以上というヒートショックでの死亡リスクを減らし、呼吸器系、循環器系の疾患も少なくなる健康住宅でもあります。

ZEHは省エネ、省マネーです

省エネということは、エネルギーを使わない、つまりランニングコストが安いということです。ゼロエネなら当然光熱費はゼロ、今は売電価格が高いのでむしろマイナス、つまり儲かってしまう訳です。

写真の検針票は雑司が谷ZEHの場合です。一番寒い季節でも使った電気と売った電気の金額はほぼ同じ、季節の良い時は売電の方がはるかに大きな金額になっています。水道代まで含めても年間光熱費はほぼゼロです。雑司が谷ZEHはオール電化ですが、使った電気の量も発電量とほぼ同じで、エネルギー使用量の観点からもゼロエネです。

しかし、その分イニシャルコストは掛かっており、その増加分を取り戻すには10年以上かかりますし、その位経つとメンテナンスも必要になりますが、それでも普通の住宅で年間20〜30万円かかる光熱費がタダなのですから住宅の耐用年数以内には楽に取り戻せる計算です。そもそもお金の為だけにZEHにするわけではないのですから、省エネである上に快適で健康的な住宅に住むことが出来、さらにイニシャルコスト分が取り戻せるのなら、はじめに少しコストがかかってもZEHにする価値は十分にあります。

ZEHに必須の太陽光発電

ZEHのエネルギーを創り出す装置は、現実的には太陽光発電になります。10kw近い極端に大きな発電装置を載せれば、あまり断熱気密性能の高くない住宅でもとりあえずゼロエネは実現できますが、10年後売電価格が下がった時を考えればランニングコストの面で問題ですし、なによりも性能の低い住宅は温熱環境の面で快適ではありません。

延べ床面積35坪程度の住宅で5kw以下の発電量で足りるように建物の性能も上げたいものです。建物性能を極端に上げればもう少し小さい容量でもゼロエネは可能ですが、コストのトータルバランスも考える必要があります。5kwの太陽光発電のイニシャルコストは現在150万円以下(この記事の執筆時:2018年→2021年現在は120万円以下)です。発電する電気の価格を考えると10年程度で十分元は取れる計算になりますが、それよりも環境問題への貢献や災害時の安心が大事ですね。なお雑司が谷ZEHの太陽光発電は5.25kwです。

HEMS:電気の見える化って?

直接的な省エネの機器ではないのですが、ZEH補助金の条件にはHEMSの設置があります。HEMSとは「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム」の略です。将来的にはここからいろいろな機器を操作できるようになるコントロールセンターですが、今のところどの器具でどの程度電気が使われているかが画面に表示されるというだけのことで、これがいわゆる「見える化」です。

そのように電気の使用状況が見えるようになると、意外なところで無駄に使っているのが分かり、省エネを心掛けるので、データによるとそれだけで10%ほど節電になるそうです。もっともマジメに毎日のようにHEMSを見るのは1年目だけですが(笑)

まとめ

ZEHとは通常は「省エネルギー住宅+太陽光発電」で「創り出すエネルギー>使うエネルギー」の環境にも優しい住宅です。多少イニシャルコストは掛かりますが、ランニングコストの安さで取り戻す事が出来、さらに健康で快適な生活や安心も得ることが出来ます。

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