高気密高断熱+高蓄熱・自然エネルギーの有効利用には蓄熱が大事

エコハウスと言えば高気密高断熱、しかしもう一つ大事なのが蓄熱です。
SURでは20年ほど前、はじめてホームページを開設した頃から
「高気密高断熱+高蓄熱」をキャッチフレーズにしていたほど蓄熱には関心を持ってきましたが
今年2020年は「蓄熱元年」とも言われており、高気密高断熱がある程度一般化し
ようやく蓄熱と言うことに広く目が向けられるようになってきました。
そこで「なぜ蓄熱が重要か」と言うことを簡単にご説明しようと思います。

一般的な木造住宅は熱しやすく冷めやすい

下のグラフは冬の晴れた日、断熱気密とも十分ではない一般的な住宅の場合です。
太陽からの熱は赤の点線のように、日の出からほぼ正午の南中まで一気に強くなり
そこを折返しに日の入りに向けて急に少なくなります。

一方外気温(緑の点線)は夜明け前に0度近くまで下がり、日射量から少しタイムラグがあって
最高気温は午後1時過ぎに10度前後になります。
その後は夜明け前に向かって徐々に下がってゆきます。それに対して室温の変化は外気温とほぼ同じように上下しますが、
全般に囲まれているだけ少しは暖かいですし、特に日中の縁側など日差しが十分あれば
かなり暖かくなります。

しかし、一日24時間で見ると暖かいのは日照が十分なわずかな時間だけです。
グラフで見ると必要な室温を20度とした場合、室温がそれを上回るのは
オレンジ色の「余剰熱量」分だけで、薄緑の「不足熱量」の方が圧倒的に多く
昼間のわずかな時間以外は、暖房が欠かせません。
明け方の最低室温も数度まで下がってしまいます。

高気密高断熱になると室温は上がるが・・・

さて、次のグラフは断熱気密性能がある程度しっかりした住宅の場合です。
1のグラフと比べると室温の変化の傾向は同じですが全体に温度が上がり、
明け方の最低室温も10度以下には下がらず必要な暖房もずいぶん少なくなります。
一般的な住宅よりはかなり暖かいと言えます。

しかし、昼間十分な日差しがある時間は温室のようになり、
必要以上に室温は上がってしまいますし、夜間は冷えてやはり暖房が必要です。

つまり、24時間平均してみると太陽からの熱量はほぼ足りているのに、
昼間は必要以上に暖かく、夜間は逆に寒く、温度の変動幅が大きいのです。

蓄熱で全体では足りている太陽の熱を平均化して有効利用

2のグラフで建物が高気密高断熱であれば、太陽の熱量そのものは結構十分にあり
一日を平均化すればかなり暖かくできることが分かりました。
しかし現実には昼間は必要以上に暖かく逆に夜間は寒い訳です。
つまり夜間の不足する熱量を昼間の余った熱量でカバーできれば良いという事になります。

上のグラフは高気密高断熱の建物に蓄熱性能を与えた場合です。
蓄熱材は日中日差しが十分な時間には日射熱を吸収し、
必要以上に室温が上がるのを防ぎます。
夜間になり室温が下がってくると、その溜めていた熱を放熱し
室温があまり下がらないように働きます。

このように蓄熱量が十分にあると、昼間と夜間の温度差をかなり緩和することが出来、
その分必要な暖房もかなり少なくなります。

更に建物性能を上げれば無暖房も可能

3のグラフで見てきたように、高気密高断熱に十分な蓄熱量があれば
わずかな暖房で快適な室温をキープすることが出来ます。
下のグラフはさらに窓に断熱戸をつけて夜間の保温性能をあげた例です。
建物性能をアップすれば完全に無煖房で冬期の室温をキープすることも可能です。
そのための条件は
・先ずは断熱気密性能を十分上げて出来るだけ室内の熱が逃げないようにすること
・そして昼間の太陽熱を十分取り入れられるように南に向いた大きな窓があること
・その窓も夜間は断熱戸などで閉めることが出来、十分保温できること
・昼間の太陽熱を夜間まで溜めておける蓄熱量があること
となります。
そうすれば上のグラフ4の室温のラインが全体にさらにもう少し上がり、
温度変化も滑らかになって、無暖房住宅になります。

冬場を無暖房で過ごせるというと夢のように聞こえるかもしれませんが
現在の高性能住宅はそれに近い所まできており、SURが手掛ける住宅も
少しイニシャルコストを掛ければ技術的には無暖房住宅は十分可能なのです。

「高気密高断熱+高蓄熱」の住宅は快適なばかりでなく、
健康的で省エネ、災害にも強い理想的な住宅です。

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